令和6年度 ネットワークの形成による広域等課題対応支援事業
No.7 自然史デジタルミュージアム推進・発展事業
                実行委員会
特定非営利活動法人 西日本自然史博物館ネットワーク
中核館
大阪市立自然史博物館
事業目的
本事業の目的は効率的かつ持続可能な自然史分野のDX化を小規模館を取り残すことなく劇的に進展させることである。大規模館のみならず中小規模の館でも取り組めるDX化を推進する。小規模館でも必要なスキルを各学芸員がもち、自館のデータについて責任を持てる体制を作るための研修を充実させる。
事業概要
1.自然史標本DX化及び普及促進のための技術レビュー及び戦略策定:資料のDX化と活用に向けた戦略の策定を行う。特に、国際学会という好機を活かし、国際標準でのDX化を目指す。
2.資料デジタルイメージング拠点の運用と拡充:ワークフロー標準化。
3.デジタル資源活用の掘り起こし検討:メタバース上での展示研修、バーチャルな共同企画展示への活用可能性を検証する。また、ユニバーサル対応のためのデジタル技術活用、STEAM敎育への応用を図る。
4.情報共有、対応能力底上げのための研修など
実施項目・実施体系
1.自然史標本DX化及び普及促進のための技術レビュー及び戦略策定
①自然史DX戦略の策定のための情報収集及び国際連携
研究会「自然史博物館の資料と保存 〜コレクションの保全を視野に」、「自然史博物館の画像公開を考える:実務とシステムの両面から」、このほか2025/2/12全国科学博物館協議会にて総会報告
②SPNHC/TDWG沖縄大会及びその成果普及
報告会「SPNHC・TDWG沖縄大会を日本の博物館にどういかすか」、「デジタルな社会の博物館、国際動向をにらみながら」、「図書館・博物館の動きを国際的視点から眺めてみる」 
2.資料デジタルイメージング拠点の運用と拡充
①拠点での資料受け入れ促進と、可搬型撮影装置の開発
②JAPAN Search連携調整
3.デジタル資源活用の掘り起こし検討
①デジタルオブジェクト化した自然史資料のVR展示への活用可能性検証
②デジタルな手法による博物館課題の解決に向けた可能性検証
「ちいさいとこ図書館総合展に集まってみようじゃん」、「3Dデータ・3Dプリンタ活用による博物館ユニバーサル化の可能性」、「自然史博物館とSTEAM教育に関するオンライン研究会」
4.情報共有、対応能力底上げのための研修・技術交流
①学芸員のための情報技術講習
「フォトグラメトリ研修(沖縄こどもの国)」、「フォトグラメトリ研修(高知市科学館)」、「3Dデジタルデータ撮影と活用に関する実習」
②博物館サポーターのための情報技術講習
「博物館図書館のOpen化、進めるには何が足りない?CivicTechにできること?」他成果報告
実施後の成果・効果等
1.自然史関係のデジタル画像公開についての論点整理は、国立科学博物館のサイエンスミュージアムネット等との調整も重要であるが、国際動向や国際規格も導入しながら、一定以上の議論を進めることができた。
2.に関して、大阪の撮影ピッチはかなり順調・効率的になっている。公開も2月には間に合わなかったが、NDLとの調整が進んでいる。
3.に関し、国際学会の議論も刺激になり、デジタルな資源の活用のイメージは関連学芸員には広がったと考えている。来年以降の申請に向けて課題イメージが構築されてきている。特に3Dデータから視覚障害者対応への道筋は関係者との連携も進み、進展が見られた。画像を利用したSTEAM教育に向けた取り組みの認識も進展した。
4.に関して今後も学芸員の能力アップに繋がる研修を進めていきたい。中でも、フォトグラメトリとVRの組み合わせは、バーチャル展示の可能性を一挙に具体的なものにしている。これらの活動の多くを、オンライン上のセミナーアーカイブとして公開したことで、広く各地の学芸員への周知とスキルアップにつながった。SNSなどでも多くの感想が得られている。
事業実績(PDF)