ネットワークの形成による広域等課題対応支援事業

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No.4 地域博物館のネットワーク形成による石川観光文化資源促進事業 

No.4 地域博物館のネットワーク形成による石川観光文化資源促進事業 )

実行委員会

金沢大学資料館

中核館

金沢大学資料館

事業目的

6つの個性的な博物館が連携し、誰もが持っているスマートフォンを用いることで簡便かつより効率の良い観光文化資源の利活用を実現する。各館のデジタルアーカイブを拡充することにより、時間と場所を超越した博物館ネットワーク「石川デジタルミュージアムネットワーク」(以下「IDMN」という。)を構築し、いつでも、世界のどこからでも利用者が各館の特徴的な資料へのアクセスを可能とする。また、石川県内は外国人観光客が増加しており、今後、IDMNの利用者として増加することが期待できるため、日本語に英語・中国語を加え、マルチリンガル化の上、公開する。加えて、多彩な来館者の視線に立ち、より分かりやすい資料説明・展示を行うために専門家による勉強会を各館で実施することにより、各館の主要な資料を3D化し、アーカイブ上で公開することを目指している。さらに中核館の金沢大学には、博物館学を学ぶ多くの留学生が存在するため、留学生が各館を訪れることにより、多彩な学生の視座に基づくより国際的に対応可能な地域博物館の確立を目指す。

事業概要

事業は3段階に分けられる。第1はデジタルアーカイブ(3D化含む。)研修を行う。現時点では各館のデジタルアーカイブの取組みには差異があるため、各館の状況に応じた研修プログラムを立て、デジタルスキルの取得・アーカイブデータの蓄積、多言語化、3Dデータ化の順に進める。第2はデジタルアーカイブネットワークの試行的な構築である。この時点では、実際に外国人を含めた多人数に利用してもらい、その意見を今後の参考とする。第3はシンポジウムの開催である。「博物館DXと地域文化遺産シンポジウム石川2023」を開催し、博物館DXを利用した多様な文化観光資源の活用案を提示する。

実施項目・実施体系

1.連携博物館のDX化の促進及び連携各館職員のデジタルスキルの取得
(1)デジタルアーカイブの研修
①ネットワーク構築のための連携各館との連携会議
②3D化撮影・編集技術専門講師による連携各館でのデジタルアーカイブ研修の実施
(2)連携各館所有資料等のデジタルアーカイブ化
①連携各館において資料等の撮影・データ化の推進
②金沢大学留学生の目から見た、連携各館のDX化への助言集約
③日本語、英語、中国語版の連携各館のデジタルアーカイブの発信(アンケート含む。)

2. 観光客を含め県内外に向けた情報発信を目的とした関連行事の開催
(1)博物館DXを活用した多様な文化観光資源の発信
①本学融合学域観光デザイン学類、スマート創成科学類との連携
②シンポジウム資料集の作成・配付
③シンポジウム当日の連携機関と講師・学識者による事前会議
④「博物館DXと地域文化遺産シンポジウム石川2023」の開催
⑤アンケートの実施・集計・分析

実施後の成果・効果等

1. デジタルアーカイブ(IDMN)の構築
国内のアンケート(石川、富山、新潟、愛知、神奈川、奈良、三重県から回答あり)では94名の回答者中「検索しやすい・見やすい」が75名で、約8割から高評価を得た。内容として「横断検索で複数の館のものが一度に検索できること」等が多く挙げられた。また少数意見ではあるが、「他の機関やコンテンツの増加に期待」、「資料等の全面的な3D化を期待する」、「歴史的な背景説明を素人にもわかりやすく追記を希望」と言った意見もあり、今後運営する上での貴重な参考意見とし、調整していきたい。
また、国外からのアンケート(中国、インド、アメリカ合衆国から回答あり)では、「画像をクリックすると各場所に直接接続できるためとてもスムーズで簡単」、「ウェブサイトとグーグルマップの場所へのリンクも非常に整っていた」、「興味のある特定の作品を見つけやすい」、「すべて写真と文章が付いており、非常に分かりやすい紹介となっているが、携帯電話で見ると画像は小さく文字が大きいため、文字を小さくし画像を大きくしてほしい」との意見が寄せられた。
なお、IDMNは本学がサーバーを管理しているので、本年度で公開を終了するのではなく、出来る限り維持・公開を続けること、さらに多くの機関に参加することを働きかけている。

2. 観光客を含め県内外に向けた情報発信を目的とした関連行事の開催
11月に本学融合学域観光デザイン学類及びスマート創成科学類の授業において、観光等分野での本件の活用法等をケーススタディとして検討を行った。受講した学生からは「学生が積極的に使用し、アーカイブの存在を広めたい」との意見が出された。また、12月17日(日)に「博物館DXと地域文化遺産シンポジウム石川2023」を開催し、オンライン参加も含め総勢174名が参加し、各博物館等が置かれている現状の説明に加え、所蔵する資料の公開方法、デジタル化等について報告があった。また、最後のパネルディスカッションでは、本学観光デザイン学類長から物語性の重要さと各館が持つ資源を活用した価値創出について指摘があるなど有意義な場となった。
また、参加者のうち34名のアンケートから「博物館のDX化が想像以上に進んでいることに驚き、気軽に携帯で検索したいと思った」、「博物館は自身で完結せず社会・一般に開かれたものであることが重要と認識した」、「デジタル化を手段として何ができるか考えることが大事」等の今後、IDMNを継続する上で貴重な意見が寄せられた。
以上のことから、引き続き博物館のDX化は展示や公開に留まることなく、博物館が持つ教育・研究機能を活用し、広く開かれた社会教育機関としての位置付けについて、再認識を得ることができた。

事業実績(PDF)

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