ネットワークの形成による広域等課題対応支援事業
年度絞り込み
事業区分で絞り込み
No.4 メタバース美術館の構築事業
実行委員会
メタバースミュージアム事業実行委員会
中核館
公益財団法人 大谷美術館
事業目的
デジタル技術の活用による新たな美術品鑑賞と、高精細複製品の制作により、柔軟性の高い展示の実現や、リアルとデジタルの両面で美術鑑賞できるようにする。さらにこれらのコンテンツを、他の展示施設との間で共有・交換することにより、上記鑑賞のネットワーク展開を図ることを目的とする。メタバース技術を用いることで、美術作品の中にアバターとして入るなど、新たな美術品鑑賞をより多くの人がネットワーク上で体験できるようにすることを目指す。
事業概要
所蔵美術作品の高再現度の複製品を作成し、同時に、デジタルデータを利用したメタバース空間的での鑑賞というリアルとデジタルという鑑賞を講座の参加者や学生・学校生徒に体験の場を提供し、それぞれの違いについての意見を交換することで、各鑑賞方法の利点を分析する。また、デジタルコンテンツを連携館と共有し、ネットワーク形成を行う。これらの事業で得た新たな知見について公開し、新しいIT手法やデジタル作品作りを体験できる機会の提供に繋げていく。
実施項目・実施体系
- コンテンツ制作と展示事業
⑴ 所蔵美術作品の高精細複製品
① 重要美術品「舞踊図(無款)」(風俗画屏風)
② 肉筆浮世絵「御殿山花見図(歌川広重 筆)」(掛幅)
⑵ デジタル相撲絵映像
⑶ 旧古河邸360°V Rと旧古河邸模型
⑷ メタバースミュージアム - 博物館・美術館とのネットワーク連携事業
⑴ メタバースミュージアム事業連携館による各館紹介ムービー
⑵ デジタル美術鑑賞ツール「みどころキューブ」 - 美術鑑賞セミナー事業
⑴ 大学生向け美術鑑賞セミナー
⑵ 子ども向けセミナー
⑶ 大人向けセミナー
⑷ 美術鑑賞セミナーによる効果の考察
実施後の成果・効果等
本事業での成果・効果について、第三者評価委員会にて次の点を確認した。
「1. コンテンツ制作と展示事業」については、新たな美術品鑑賞の方法を提供するとともに、再現度の高い複製品を展示することにより、リアルとデジタルの両面からより深い美術鑑賞が可能となった。
「2.博物館・美術館とのネットワーク連携事業」については、作成したコンテンツを遠隔の博物館施設との間で共有・交換することにより、鑑賞のネットワーク環境が構築され、来館者の興味関心の拡大が期待される結果となった。
「3. 美術鑑賞セミナー事業」ではメタバースの利用範囲が広がり、美術品の新しい鑑賞方法が受け入れつつある現在、IT技術を用い、美術作品の中にアバターとして入るなど、新たな美術品鑑賞手法をより多くの人が興味をもって体験できることの提案があった。また、データ数が少ないことから、統計的に有意な差は認められなかったが、一般向けセミナーでは絵画鑑賞が俳句等の鑑賞力に影響を与える可能性は考えられ、今後のこのような調査を進める意義について確認された。
総評としては、近年のコロナ禍やリモートワークによる働き方の変化によって、外出の機会が減り、美術鑑賞の機会も減少したが、本事業で提案した新しい鑑賞システムは、このような問題の解決策の一つとなり、さらに、新たな美術鑑賞の可能性を広げる試みであったという評価を受けた。