地域課題対応支援事業
年度絞り込み
事業区分で絞り込み
No.4 2023「みる・よむ・体験する」ねりまフォーラム事業
実行委員会
「みる・よむ・体験する」ねりまフォーラム実行委員会
中核館
ちひろ美術館・東京
事業目的
事業の目的は、まず地域において、参加者が文化芸術に触れ、他者との対話や交流を通して豊かな時間を共有する場をつくると同時に、必要な支援を提供すること。そして、誰もが体験できるよう、子育て世代、障がい者、高齢者、在留の外国語を母語とする家庭など、文化芸術と触れ合う機会が届きにくい層へのアクセシビリティーを高め、より参画しやすい学びの機会の創出を目指すこと、である。当実行委員会のこれまでの活動によって得られた知見とネットワークをもとに、それぞれの専門性(芸術、文化、子育て支援、若者支援)を最大限に活かすと同時に、新たに障がいや認知症のある方々を対象に活動している専門家やNPO法人と協力し、地域に開かれた広場(フォーラム)として、多様な背景をもつ誰にとっても居心地のよいインクルーシブな「居場所」をつくり、地域の課題の解消に貢献することを目的とする。
事業概要
ねりまフォーラム実行員会として三年目となる本年は、地域における文化芸術体験のアクセシビリティー向上を目指し、昨年までの聞き取り調査などをふまえ、さらに、ねりまフォーラムのメンバー全員で、活動全体の指針となるインクルーシブデザインの概念と手法を学び、実践した。練馬区内の美術館、図書館、子育てNPO法人、若者就労支援NPO法人が、それぞれの専門性を生かして連携し、地域の人々が交流を深め、乳幼児やご高齢の方や障がいのある方とそのご家族などが気軽に文化芸術活動に親しめるような事業を行った。
実施項目・実施体系
1.文化芸術体験のアクセシビリティー向上活動
①インクルーシブデザインについての講義受講
②インクルーシブデザインのワークショップの開催(美術館)
③インクルーシブデザインのワークショップの開催(図書館)
④障がいのある方向けの鑑賞のサポートプログラム開催
⑤認知症のある方向けのアート鑑賞のプログラム開催
⑥あかちゃんのための鑑賞会の開催(外国語を母語とする家族を含む)
⑦子どものための鑑賞会の開催(外国語を母語とする家族を含む)
⑧子どものためのワークショップの開催(外国語を母語とする家族を含む)
⑨手話通訳つきギャラリートークの開催
⑩全盲の美術鑑賞者との美術鑑賞ワークショップの開催
⑪現代の絵本画家の対談の開催
⑫絵本に関する講演会開催
⑬美術館所蔵品カードを使用したワークショップの開催
⑭アートdeねりまちのポスター作成と発信
⑮出張「子育てのひろば」の開催
⑯手話動画ガイドの作成
⑰報告書の作成と発信
実施後の成果・効果等
今年度は事業を行うにあたり、外部講師を招き、インクルーシブデザインの講義を受講し、ワークショップを行った。文化芸術体験のアクセシビリティーを高めるためには、一方的な情報や機会の提供ではなく、あらゆる人とともに場を共有し、楽しみ、学び、相互理解を深めることが大切であると確認した。
昨年度行った聾学校の教員への聞き取り調査から、聴覚に障がいをお持ちの方たちの文化を学んだことをふまえ、今年度は、美術館の紹介動画に、手話通訳を付与した。手話翻訳の確認作業を通じて、手話の実態を把握し、必要とされている情報保障についてより理解を深めることができた。さらに、手話通訳を交えたギャラリートークを開催し、手話を第一言語とする方とコミュニケーションをとる際の方法を具体的に学び、手話を第一言語とする方から、こうした機会が増えることを希望するという意見を伺った。同様の意見は、休館日に開催した障がいのある方向けの鑑賞のサポートプログラムでも寄せられた。6歳から70代まで幅広い方が、遠方も含めた区外から参加し、こうした機会が求められていることを実感した。認知症の方を対象にした鑑賞プログラムを開催するにあたり、これまで接点を持つことが少なかった地域の包括支援センターなどにも働きかけ地域の高齢者に向けて広報を行った。美術館で開催した出張「子育てのひろば」に参加した方のなかには、今まで美術館のことを知らなったが、初めて訪れたという方や、乳幼児を持つ人と初めて交流する機会になったという方もいらした。 これらの事業を通して、それぞれの特性をお持ちの方たちとつながる具体的な方法を探ることができた。
事業実績(PDF)