地域課題対応支援事業

年度絞り込み

事業区分で絞り込み

No.34 学校と美術館の連携事業連携 2022 みんなの参観日「図工の時間・美術の時間−子どもの学び-」

No.34 学校と美術館の連携事業連携 2022 みんなの参観日「図工の時間・美術の時間−子どもの学び-」)

実行委員会

岡山県立美術館 学校と美術館の連携委員会

中核館

岡山県立美術館

事業目的

本事業は、すべての子どもたちが、文化的で豊かであることを目指す学校と美術館の共働プログラムで、双方の連携のさらなる推進を図り、ともに地域や社会に開かれた姿を目指す事業である。
図工や美術の時間の中で大切にされている子どもの思いや主題、先生の支援や子ども同士の関わりを切り口とした「子どもの学び」を美術館に展示して、地域や社会の「みんな」が、それを参観することができる場が「みんなの参観日」である。他校の図工や美術の時間の子どもの学びを先生が参観することで、お互いを高め合う機会に、同じ時代に図工や美術の時間で学んでいる子どもたちが参観することで、同じ世代の多様な考え方や表現を知る機会に、かつて図工や美術の時間を体験した人々が参観することで、今の図工や美術の時間の子どもの学びを地域や社会に知ってもらう機会になると考える。特に、地域や社会の理解は、地域や社会全体で行う子育て支援のまなざしを生む契機になると考える。また、大学と連携して行う本事業は、未来の先生(学生)に夢と希望を届けるバトンにもなると考えている。
美術館という場で行う「みんなの参観日」の4回目を実施する今年度は、時代や地域を超えた多世代の「交流の場」としてのシンポジウムを開催する。

事業概要

本事業は、【授業の展示】【実験的な展示】【次につながる展示】をキーワードに、小中学校、並びに特別支援学校(小中学部)を対象として参加校を募る。また、今年度は、「交流の場」としてのシンポジウムを開催しする。なお、事業を進めるにあたっては、学校と美術館の「双方向性」を重視して行う。
【授業の展示】必修教科としての「図画工作科」「美術科」の授業を対象とする。すべての子どもが造形教育、美術教育を義務教育の中で学ぶ意味を展示する。
【実験的な展示】従来の「"もの"の展示」から、「学びの姿や学びから生まれた"こと"」へパラダイムチェンジした展示を試みる。教員にとっては授業の引き出しづくりとなるよう、美術館職員にとっては学校教育の理解の機会となるよう、授業見学の機会を設ける。「みんな」が、図工や美術の時間を体験することをとおして交流が生まれるよう、多様なアクティビティを実施する。
【次につながる展示】図工や美術という教科の存在意義が危うくなっている現在、再度図工や美術の存在意義を参観者に問う。先生が参観することで、「図工や美術の楽しさ」に気づき「こんな授業をやってみたい」という気持ちの涵養を促す。「未来の先生(高大校生)」に夢と希望を届ける。授業の質の向上は、子どもの造形・美術体験の充実となり、一人一人の子どもが文化的で豊かで幸せであることにつながると考える。

実施項目・実施体系

1. みんなの参観日「図工の時間・美術の時間−子どもの学び-」
(1) 環境基盤整備方針の検討
① 連携委員会/ワーキング・グループ会合
② 説明会/参加校打ち合わせ会
(2) みんなの参観日
① 授業見学
② 打合せ/準備
③ 展示事業/公開授業/アクティビティ
④ アンケート/インタビュー
⑤ 記録集の作成(シンポジウムの記録も兼ねる)
(3) シンポジウム
① 打合せ/準備
② シンポジウム
③ アンケート/インタビュー

実施後の成果・効果等

【授業の展示】【実験的な展示】【次につながる展示】をキーワードに、学校と美術館の双方向性を重視して行った「みんなの参観日」事業は、県内8 小中学校(小学校5校、中学校3 校)の参加、1,995 人(前期:993 人、後期:1,062 人)の参観者で、第4回目を終えることができた。今年度は、交流の場としてのアクティビティの一層の充実を図り、図工・美術の時間にチャレンジできるワークショップに加え、シンポジウム、公開授業、参加校による団体観覧等の新しいプログラムを実施した。
4 年間の参観者アンケートには、「あまり期待せずに見始めたが、子どもたちやそれに関わる大人たちの熱量のすごさに涙が出るほど胸を打たれた」「小学生の娘は普段アンケートを書いたりはしないのですが、今日は私よりも先に書いていました。きっと感じるものがあったのだと思います」「図工・美術の授業を含めて子どもの創造活動は、結果が問題ではなくその過程こそに意味があると考える」「美術教育とは、作品や手法などの表面的なことを教えるのではなく、作品の後ろに広がる人間や社会を学
ぶことにも繋がるということを知った」「過程や感想、ねらいなどを言語化することで、自分を知るのもアートの役割としてあることを、子どものワークシートで実感した」「美術館が公的な存在であり、公的な教育にもつながっていることは、自然な姿であると思いますし、そのようにある岡山県立美術館のありがたさに思い至ります」「コロナ禍で保護者が学校を訪問することが減っています。子どもたちがどのような表情で学校生活を楽しんでいるのか知る機会が少ないため、美術館での展示をとおして、生の姿をみることができました 。子どもたちはどんな状況下でもたくましく成長しているのだと改めて知ることができました」「子どもたちは、今の社会や友だちとのことを大人が思う以上に考えていることがわかりました」「公開授業を見学させていただきました。子どもたちのリアルな学びの場をみられることがとても貴重でした。美術館で"よそゆき"にならない雰囲気づくりが素晴らしかったです」「子どもの頃の図工の時間を懐かしく思い出しました。その頃よりももっとみんなが優しく、生き生きしているのを感じ嬉しくなりました。子どもたちの感想もみんなでつくるすばらしさや喜び を感じているようでしたね。素敵な授業、作品をありがとうございました」「この空間が夢に満ちているように感じます。未来の明るさは、子どもたちの中にありますね」等々、数々のコメントが寄せられた。
これまでに寄せられた参観者のコメントには、地域や社会のあたたかいまなざしが溢れている。学校と美術館の双方向のやり取りを重視し、互いに共感しつつ高め合うことができる場を目指す「みんなの参観日」が、地域や社会に学校を開く、そして地域や社会が学校を知る一つの機会になっていると考えられる。そして、社会教育施設という側面を持つ美術 館が、学校と共働することをとおして、≪もの≫と≪ひと≫と≪こと≫をつなぐ結節点になり、地域や社会のあたたかいまなざしを涵養する場になる可能性があると考えられる。
参考 第 1 回~ 4 回/参観者数、並びにアンケート回答数
第1 回 みんなの参観日(会期日数:前期・後期ともに 1 週間)
参観者数:前期 879 人、後期 502 人
アンケート 回答数 :前期 131 人/ 15 %、後期 77 人/ 15
第2 回 みんなの参観日( 2 回目以降の会期日数:前期・後期ともに 2 週間)
参観者数:前期 1 ,111 人、後期 1 ,772 人
アンケート 回答数 :前期 136 人/ 12 %、後期 93 人/5%
第3 回 みんなの参観日
参観者数:前期 1 ,346 人、後期 639 人
アンケート 回答数 :前期 217 人/ 16 、後期 191 人/ 30
第4 回 みんなの参観日
参観者数:前期 933 人、後期 1 ,062 人
アンケート 回答数 :前期 192 人/ 21 %、後期 208 人/ 20

事業実績(PDF)

<戻る