地域課題対応支援事業

年度絞り込み

事業区分で絞り込み

No.14 金沢大学近代化遺産振興事業

No.14 金沢大学近代化遺産振興事業)

実行委員会

金沢大学資料館

中核館

金沢大学資料館

事業目的

本事業の中核館である金沢大学資料館は,前身校の第四高等学校由来の各種教材など,貴重な資料を数多く保管している。また,金沢大学の宝町キャンパスには,医学関係の資料に加え,大正末期から昭和初期に建設された近代化遺産である建築物が3棟,明治末期に金沢医学専門学校が移転した際に設置された門柱・煉瓦塀が現存し,連携館である石川県西田幾多郎記念哲学館,石川四高記念文化交流館には登録有形文化財が,石川県立自然史資料館には第四高等学校由来の各種教材が遺されており,一般に公開されている。 これらの貴重な文化遺産を連携させ,新たな観光文化資源として地域課題の達成に貢献することを目的として,シンポジウムを開催し,これら文化資源の活用・保存,啓蒙活動を促進することを目的とした。

事業概要

本事業では,最初に近代化遺産に関する事前アンケートを実施し,金沢市内における近代化遺産の認知度に関する調査を行った。その結果を踏まえ近代化遺産の利活用・継承のため,「近代化遺産シンポジウム 金沢2022」を開催した。本シンポジウムでは,近代遺跡の保存・活用を推進する日本考古学協会会長,移設された近代化遺産の管理・展示分野の専門家,金沢市の近代文化遺産に精通する研究者,金沢大学内の近代遺跡の調査担当者が研究発表を行い,その後,連携館の関係者も参加した討論会を開催した。また,シンポジウム終了後には,今回限定でライトアップした近代化遺産建築物を鑑賞するキャンパス・ツアーも開催した。最後に本シンポジウムに関する配付資料,マップ,英語対訳付き研究報告書を作成した。また,総括的な意味を含んだ近代化遺産の関連企画展示も開催した。

実施項目・実施体系

9/22~11/7 近代化遺産に関する事前アンケート

11/27 近代化遺産シンポジウム 金沢2022    
    出版物:『近代化遺産シンポジウム金沢2022資料集』『近代化遺産散策マップ』
       『近代化遺産シンポジウム金沢2022研究報告書』

2/10~3/13 金沢大学資料館後期企画展
      「金澤モダン~金沢大学ゆかりの近代化遺産・近代遺跡を訪ねて~」

実施後の成果・効果等

実施前にスマートフォンを利用して,近代化遺産に関するアンケートを実施した。回答数は250件であった。その結果,「近代化遺産という言葉を聞いたことがない」(56.4%),「聞いたことはあるが具体的にはわからない」(28.4%),「知っている」(15.2%)となり,一般の方々の近代化遺産に関する関心のなさが浮き彫りになった。また,金沢市内の近代化遺産建築についての質問でも,観光地以外は存在を知らないという回答がほとんどであった。
 シンポジウム後に参加者アンケートを実施したところ,160名の参加者の中で92件の回答を得た。1件以外は,「近代化遺産に関心を持った」という回答を得ており,シンポジウムの開催効果はあったものと考えている。シンポジウムの講演内容が,今後,近代化遺産をどのように保存・活用していくべきかという内容だったこともあり,アンケートの記述欄に多くの意見が寄せられ,今後の近代化遺産の保存・活用を考える上での貴重な意見を集めることができた。近代化遺産の保存を困難にしている理由に「経済的な問題」を挙げている参加者が約10件存在し,また,全ての近代化遺産を保存することの難しさから,どの近代化遺産を保存するのかについて,「選択を迫られることに対する不安」を感じている参加者が約5件存在した。今後も継続的にアンケートを実施することにより,金沢市の近代化遺産の保存・活用についての市民の関心度に留意していきたい。運営上の否定的な見解としては,「討論時間が短かった」「休憩時間が短かった」というものがあり,今後のプログラム作成時に活かしていきたい。

事業実績(PDF)

<戻る