令和6年度 MuseumDX(博物館DX)推進事業

No.2 「建築家・磯崎新」建築作品の広域データベース化と次世代育成「オンライン・ミュージアム・ツアー」の創設

No.2 「建築家・磯崎新」建築作品の広域データベース化と次世代育成「オンライン・ミュージアム・ツアー」の創設)

実行委員会

北九州市立美術館

中核館

北九州市立美術館

事業目的

【「建築家・磯崎新」建築作品の広域データベース化】                      北九州市・大分市の「磯崎新」の建築作品を後世に残し、現在の姿をデータ・アーカイブとしてその文化的価値を顕彰する。また、データ・アーカイブを建築系学生の授業コンテンツや観光コンテンツとして活用していく。

【次世代育成「オンライン・ミュージアム・ツアー」の創設】                   近年の美術館DXの推進と学校現場のIT環境の整備を背景に、当美術館のデジタルコンテンツを新たに作成し、オンラインで実施できるバーチャルツアーを構築する。これまでの招待型のツアーを見直し、ミュージアム・ツアー事業の長期継続性を担保するとともに、内容の充実、実施効率化、参加対象の拡大を目指す。

事業概要

【「建築家・磯崎新」建築作品の広域データベース化】                      大分市美術館をはじめとして北九州市内の文化・観光振興団体・施設との連携のもと、両市に所在する建築物についてデータベース化し、顕彰・保存をする。まずは動画によるアーカイブを作成し、世界中に公開する。全国の建築系学生・教員に働きかけ、授業等でオンラインにより活用することを目指すほか、観光コンテンツとして活用する。

【次世代育成「オンライン・ミュージアム・ツアー」の創設】                   令和5年度まで実施していたミュージアム・ツアーを廃止し、デジタルを活用した新しい形でのオンライン・ミュージアム・ツアーを構築する。小学校4年生を対象に、45分間の授業時間の中で北九州市立美術館と学校を双方向のオンラインで結び、建物の鑑賞、作品の「対話型鑑賞」等を行う。

実施項目・実施体系

【「建築家・磯崎新」建築作品の広域データベース化】
①全体ミーティング実施(方針決定 R6.7月12日
②メール協議によるコンテンツの協議 R6.8月
③磯崎新建築作品の撮影 R6.9月~11月
④Webページ作成 R6.10月~12月
⑤「磯崎新建築アーカイブ」動画記録の公開 R7.1月
⑥全国建築学生への広報 R7.1月
⑦北九州市立美術館「磯崎新の原点展」会場にてアーカイブ映像を公開 R7.1月~3月
⑧記念講演会(対面・オンライン)の開催 R7.1月
⑨オンラインによる建築系学生の授業実施 R7.1月
⑩磯崎新建築アーカイブについては、ジャパンサーチ登録(依頼中)

【次世代育成「オンライン・ミュージアム・ツアー」の創設】
①事業内容検討(教育委員会) R6.6月
②全体ミーティング実施(方針説明・決定) R6.7月
③授業内容・デジタルコンテンツ協議(教育委員会図工部会・幹部) R6.7月
④デジタルコンテンツ制作 R6.7月~R7.1月
・対話型鑑賞動画作成
・館内VR映像作成 
・授業時使用コンテンツのホームページ格納 
・彫刻・絵画のレプリカ作成 
・高精細画像撮影および高精細画像を使用した所蔵品検索作成
⑤12月試行実施学校への説明・協議(5校) R6.9月
⑥教員用マニュアル作成と調整(教育委員会と協議 R6.9月~R7.1月
⑦所蔵作品レプリカを活用した演劇(ゲキシビジョン)実施 R6.10月(計6回)
⑧模擬練習(リハーサル)実施 R6.11月~12月
⑨12月試行実施校(5校)との事前打合せ R6.11月~12月
⑩試行実施 5校 R6.12月
⑪追加試行実施校との事前打合せ R6.12月~R7.1月
⑫追加試行実施 15校(16回) R7.1月~2月
⑬まちなかアートでのレプリカの展示 R6.11月~R7.2月
⑭アンケート集計 R6.12月~R7.2月
⑮教育普及用HP公開 R7.2月
⑯高精細画像のデータについてはジャパンサーチ登録(申請中)

実施後の成果・効果等

【「建築家・磯崎新」建築作品の広域データベース化】
・大分市・北九州市内の磯崎新建築作品(アートプラザ、北九州市立中央図書館・文学館、国際会議場、西日本総合展示場本館、北九州市立美術館)の建築アーカイブとしてまず動画を中心としたHPを全世界に公開した。
・北九州市立美術館の自主企画展「磯崎新の原点」の会場で、5施設のアーカイブ動画を上映した。
・データ・アーカイブは建築学生の授業コンテンツとして活用できるほか、インバウンドほか観光客の増加のために活用することが可能となった。

【次世代育成「オンライン・ミュージアム・ツアー」の創設】
・従来の美術館招待型のミュージアム・ツアーにかわる、デジタルコンテンツを活用した新しい「オンライン・ミュージアム・ツアー」プログラムを構築し、来年度以降、市内の小学校4年生全員(約7000人)に実施することが可能となった。
・対話型鑑賞を行うオンライン・ミュージアム・ツアーについては、参加者を募って行う美術館は一部あるが、市の教育委員会と連携して「授業」の一環として7000人規模で実施することはなく、他の美術館にない本市のみの先進的な取組となった。
・デジタルコンテンツを作成し、コンテンツを活用した45分間の授業を構築した。今年度、20校に施行実施した。オンラインで実施した児童(5校147名)教員(20校25名)のアンケートの結果、ほぼ授業結果に「満足」する結果となり、多くの児童から面白かった、美術館に行きたいという回答を得られた。
・オンライン・ツアーだけでなく、学芸員による出張授業や、教員の図工授業でのアンケートの結果満足度が高くデジタルコンテンツは十分に活用できることが実証できた。
・北九州市では小学校でのタブレットの使用が進んでおらず、ICT化にやや遅れがあったが、今回の取り組みはICT化の促進に寄与するものとなった。
・市内小学校4年生のみならず、特別支援学校や不登校児、来館が困難な高齢者向けの施設などでも今後活用していく。
・作成したデジタルコンテンツ(レプリカ、高精細画像等)は北九州市立美術館のDX推進に寄与し、アートイベントやワークショップなどで活用することが可能となった。高精細画像は著作権を考慮しながら、一般に公開を行う。

事業実績(PDF)

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