令和6年度 企業立博物館と自治体との連携による地域還元型取組支援事業
No1 六本木土地活用アートプロジェクト
実行委員会
森美術館
中核館
森美術館
事業目的
事業の目的①
港区の若年層および次世代の観客のために文化的な学びの場を創出する。特に若年層のクリエイティブ・マインドを醸成し、将来的に当地におけるクリエイティブ産業の担い手の育成に貢献する。
対応する課題:1.若年層がアートに触れ、表現する機会が少ない
2.次世代の観客の育成が出来ていない
事業の目的②
港区、地域の商店街、地域の小学校、中学校、高校との文化的な交流の場を創出する
対応する課題:3.六本木ヒルズ以外での地域に対する取組みが出来ていない
事業概要
・企業立博物館である森美術館が、そのノウハウを活用しながら、港区や地域商店街である六本木商店街振興組合、地域の小学校、中学校、高校など多様な機関と協働し、以下の2つの事業を実施した。展示や発表の場については、学校内や美術館内ではなく、街なかの公共の場で展示・発表することで、地域の活性化にもつながる公益に資する地域還元型事業とした。特に今回使用した麻布消防署仮庁舎建設用地は東京都の管理下にあり、第三者の使用が難しい状況にあるが、地域の商店街および港区と連携して公共性の高いプログラムを立案することで、東京都から使用許可を取得し、街なかの公共用地を活用した展示発表を実現するなどの工夫を行った。
事業① 小・中・高校生とアーティストによるアート共同制作
港区にある区立麻布小学校、区立六本木中学校、広尾学園中学校・高等学校の有志の生徒たちが現代美術アーティストの青山悟、山本晶との協働により美術作品を共同制作し、9月27日~29日に麻布消防署仮庁舎建設用地で一般公開した。
事業② 小・中・高校生とアーティストによるアート鑑賞ワークショップ、振り返りの会、および記録集の作成
森美術館のラーニング担当のガイドにより、小・中・高校生とアーティスト2人が六本木ヒルズにあるパブリックアート作品を鑑賞し、感想を共有。その後に開催された振り返りの会では、本事業に参加した生徒、学校校長や担当教員、アーティスト2人が全体的な所感を共有し、さらに六本木商店街振興組合理事長、森ビル株式会社、森美術館職員、本事業コーディネーターなどが参加し事業全体の振り返りを行い、活発な意見交換・質疑応答がなされた。最後に活動記録集を制作・発信し、全国各地の文化施設関係者への事例紹介としたほか、地元住民への情報の共有に努めた。
実施項目・実施体系
1.開催準備
①土地活用アートプロジェクト検討会議の開催
②港区と商店街振興組合による港区の小学校、中学校、高校、東京都等関係者等との調整
③森美術館によるコーディネーター、アーティストの選定・調整、企画検討
2.小・中・高校生とアーティストによるアート共同制作
①コーディネーター、アーティストと参加校の生徒の顔合わせ
②アーティストと港区の小・中・高校生によるアートの共同制作
③公共の場(麻布消防署仮庁舎建設用地)での展示
3.小・中・高校生とアーティストによるアート鑑賞ワークショップ、振り返りの会
①アート鑑賞・ワークショップの開催
②活動の振返り(個人、学校毎、全体)と振り返りの会の実施
4.活動記録集の作成、公開、地域への共有
①記録撮影、編集
②活動記録集の作成、発信、地域との共有
実施後の成果・効果等
①港区の若年層および次世代の観客のために文化的な学びの場を創出することができた。世代間交流や地元の公共空間のアートの理解を通じ若年層の地域への愛着形成につなげた。参加生徒からは「良いものができた」「達成感があった」等、本事業への肯定的な感想が多く寄せられており、本事業が若年層のクリエイティブ・マインドの醸成につながったことが確認できる。
②地域の商店街振興組合および港区と連携して公共性の高いプログラムを立案したことで、特別に東京都の許可を受け、空き地となっている麻布消防署仮庁舎建設用地を使用することができ、展示・発表を実現することができた。
③森ビル株式会社、森美術館が中心となり、産学官連携による本事業を実施することで、地域の商店街振興組合と学校との文化的な交流の場を創出することができ、居住者、来街者などを含めた地域の様々な主体をつなぐことができた。活動内容や振り返りの会の議論の内容も含めたオンラインの記録集を通じて、概要を公開し、地域と共有した。イベント終了後も、商店街振興組合および学校、および学校間のコミュニケーションは継続しており、地域コミュニティのつながり強化に貢献できた。
→②と③という成果により、次年度以降も本事業と同様の取り組みを検討したいという声が港区や地域の商店街振興組合から挙がっている。当事業の成果を生かし、今後も「六本木アートナイト」等の事業を通じて、森ビル株式会社、森美術館が中心となり、地域の商店街振興組合、学校、地域産業等とのつながりをさらに強化していきたいと考える。