令和6年度 地域課題対応支援事業
No.9 美術館がつなぐ共生社会推進事業
実行委員会
美術館がつなぐ共生社会推進事業実行委員会
中核館
三重県立美術館
事業目的
本事業の目的は、誰もが自分らしく生きられる共生社会を推進することである。そのために、美術館はさまざまな個人・団体をつなぐハブとして機能しながら、多様な潜在的利用者が主体的に事業に関われるような基盤を整える。
「三重県立美術館のめざすこと」(平成30年3月策定)にある5つの指針のうち、「誰もが利用しやすい環境を整えます」のみならず、「さまざまな組織・個人と協働し、美術館の可能性を広げます」にも関わる事業である。
事業概要
当事者との交流や先進事例の調査を行い、地域の当事者を巻き込みながら、継続しやすいプログラムや、翌年度以降も活用できる教材を開発し、当事者の自己肯定感向上を目指す。12月~3月には工事休館を予定していることから、アクセス権の保障のために、積極的にアウトリーチプログラムを行う。初年度となる令和6年度は潜在的利用者や先進事例の調査に重きを置く。
実施項目・実施体系
(1)調査
①利用者調査・交流1(ひきこもり当事者・家族・支援者)
②利用者調査・交流2(日本語を母語としない人)
③先進事例調査
(2)プログラム企画運営(スタッフの育成含む)
①筆談鑑賞会
②コレクション出張プログラム1(特別支援学校)
③コレクション出張プログラム2(高校)
④日本語を母語としない人のためのプログラム(スタッフ研修)
(3)教材開発
①さわる鑑賞のための教材開発(準備)
②オーディオガイド開発
(4)報告書作成
①報告書作成
(5)実行委員会開催
①第2回実行委員会
②第3回実行委員会
実施後の成果・効果等
以下、申請時に提出したロジックモデルを踏まえて報告する。
(1) 調査
採択通知時の委員からのコメントを参考にし、今年度は利用者調査や先進事例調査に重きを置いた。成果報告はプログラムの実施報告が中心となったが、潜在的利用者との交流や支援施設の調査を2件以上、先進事例の調査を4件以上実施。いなべ市ひきこもり支援センター「瑠璃庵」をはじめとし、地域の支援者らから具体的な助言を得ることができ、次年度以降のプログラムの展開も検討することができた。
(2) プログラム企画運営(スタッフ育成含む)
プログラム企画運営5件以上、多様な主体が運営に関わるプログラムは3件目標のところ1件(筆談鑑賞会)、参加者は計235名。日本語が母語でない高校生や、病院に入院する中学生が参加者として参加し発表をする機会は確保できたものの、運営スタッフとして企画から関わるには至らなかった。この点については(1)の調査を踏まえて次年度以降に挑戦することとし、「自己肯定感向上」の妥当な測定方法についても検討したい。
(3) 教材開発
多様な主体が開発する教材について、さわる展示のための支援教材は現在開発を検討中(次年度以降発表)。オーディオガイドは、次年度以降、多様な主体が派生教材の開発に関わる前提で今年度作成。
(4) 報告書作成
紙、オンライン(テキスト、PDF)等複数の形式・媒体により、参加者等の視点を交えた報告資料を作成し公開した。