令和6年度 地域課題対応支援事業

No.10 ケアしあうミュージアム

No.10 ケアしあうミュージアム)

実行委員会

ケアしあうミュージアム事業実行委員会

中核館

ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

事業目的

本事業では、社会情勢や環境、障害などにより、文化的な生活を営むことに制約が生じる人がいるという社会状況に目を向け、「誰もがケアしあう社会」の在り方を模索した。盲ろう者との共同創造、交流機会の拡充、事業効果の波及を目的とし、参画する双方にとっての気づきやケアが生まれることを目指した。

事業概要

「盲ろう者と学生によるまち歩きワークショップおよびWEBサイトの制作」を行った。まち歩きワークショップでは、盲ろう者と支援者、学生が検討委員になり、まち歩きワークショップを企画・実施。盲ろう者と歩き、アートにふれることで、盲ろう者の世界を知る機会を創出した。また、訪れたまちの施設や飲食店の関係者にとって盲ろう者という存在への気づきが生まれるきっかけになるなど、当事者発信のユニバーサル・ツーリズムの在り方を考える契機とした。
成果物の制作・配布では、制作会議を経て、WEBサイトを制作した。盲ろう者や学生自身が感じたことを、自分たちの言葉で綴り発信し、その気づきを、多くの当事者や福祉関係者、まちづくりやアートに携わる人たちに伝えることを目指した。盲ろう者自身が制作に関わり、共同創造するなかで、当事者による発信の機会を創出した。より多くの人に伝えるために、告知ツールを作成して全国の美術館や福祉関係施設、全国の盲ろう者協会などに郵送した。

実施項目・実施体系

1.盲ろう者と学生によるまち歩きワークショップおよびWEBサイト制作
①検討会議(2回)
②制作会議(3回)
③まち歩きワークショップの実施(2回)
④WEBサイトの制作・告知ツールの配布
⑤振り返りの実施
2.ケアしあうミュージアム事業実行委員会の開催

実施後の成果・効果等

まち歩きワークショップでは、まち歩きエリアを約500メートルほどに絞り、同じエリアを2回歩くことで、相互理解を深める取り組みとした。古い町並みの塀や壁をさわったり、植物のにおいをかいだり、コロッケを食べたりする中で、触覚、嗅覚、味覚をフルに使ったまち歩きを行い、学生、支援者に大きな気づきを与えた。「小さなエリアを歩くだけで楽しいことがいろいろあることに気がついた」といった声が聞かれ、盲ろう者の世界を知ることをきっかけに、まち歩きそのものの概念が変化する機会になった。また、まちの中にある段差や交通量の多さなど、誰もが安心して楽しめるまちのあり方を考えるきっかけになった。
WEBサイトの制作では、これまで極めて限られた世界に暮らしていた盲ろう者にとって、自らの言葉で自らが感じていることを伝える機会になった。学生からは「私が想像していた以上に盲ろう者の方々は自分でできることが多くあり、それはすごいことのように感じますが、ご本人たちからすれば普通の日常であることに気付きました」といった声が聞かれた。 WEBという多くの人がふれられるメディアでの発信となったことから、より多くの人にサイトの存在を知ってもらうことが重要となり、5,000部の告知ツールを制作した。全国の美術館、福祉施設、全国の盲ろう者協会などに郵送し、取り組みの成果を広く知らしめた。
【アンケート】
「盲ろう者の知覚世界を知るきっかけになった」と答える学生 回答4名中4名100%[目標80%]
「共同創造により学びを得た」と答える検討委員 回答7名中7名100%[目標80%]

事業実績(PDF)

<戻る