地域課題対応支援事業

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No.35 鳥居龍蔵がつなぐ台湾と徳島の文化交流事業

No.35 鳥居龍蔵がつなぐ台湾と徳島の文化交流事業)

実行委員会

鳥居龍蔵がつなぐ台湾と徳島の文化交流事業実行委員会

中核館

徳島県立鳥居龍蔵記念博物館

事業目的

鳥居龍蔵と彼が遺した資料群に対する興味関心を、飛躍的に向上させることである。具体的には、移動展示や国際シンポジウムを開催することで、地域における学習意欲を向上させるとともに、鳥居龍蔵をキーパーソンとした台湾と徳島県との文化交流を展開させる契機としたい。

事業概要

〇徳島県内6会場での移動展示(移動展3回、パネル展3回)の開催

鳥居龍蔵は、1896(明治29)年から1911年にかけて、5回にわたり台湾で調査を行った。鳥居が台湾で撮影した写真資料やフィールドノートなどを展示した。

〇移動展示関連行事の実施

展示解説(4会場4件)、講演会(2会場2件)、出前授業(2会場2件)、ワークショップ(1会場1件)の合計9件の関連行事を行った。

〇国際シンポジウムの開催

台湾での鳥居龍蔵の足跡をたどるとともに、彼が遺した資料の価値について、日本および台湾の双方から学術的な検討を加えた。

〇成果物の刊行

国際シンポジウム講演要旨集(全82ページ)、普及啓発パンフレット(全8ページ)、事業報告書(全44ページ)の3冊を刊行した。

実施項目・実施体系

1.会議

①事業の進め方についての協議、②国際シンポジウムの準備・協議、③総括会議

2.国際シンポジウム

①広報、②シンポジウム資料の作成、③シンポジウムの開催、④今後の文化交流のための資料調査

3.移動展示

①移動展1~3の広報

(1)移動展1「学知のユリカゴ 台湾」阿南展

①協議・準備、②移動展の開催、③展示解説

(2)移動展2「学知のユリカゴ 台湾」美馬展

①協議・準備、②移動展の開催、③講演会、④展示解説

(3)移動展3「学知のユリカゴ 台湾」徳島展

①協議・準備、②移動展の開催、③講演会、④展示解説

(4)パネル展1「鳥居龍蔵と新町小学校」

①協議・準備、②パネル展の開催、③展示解説、④出前授業

(5)パネル展2「学知のユリカゴ 台湾」徳島大学展

①協議・準備、②パネル展の開催、③出前授業、④ワークショップ

(6)パネル展3「学知のユリカゴ 台湾」文化の森展

①協議・準備、②パネル展の開催

4.事業報告書  

①事業報告書の作成、②事業報告書等の発送

実施後の成果・効果等

本事業は、移動展示と国際シンポジウムの2つを柱として実施した。

まず、移動展示について、徳島県内6会場において、移動展3回、パネル展3回を開催した。その結果、合計8,317名の観覧者を得ることができた(関連行事の参加者は合計322名)。徳島県内の博物館施設の他に、図書館や大学などで移動展示を実施したことによって、ふだん博物館に来館する機会が少ない方にも、鳥居龍蔵が撮影した写真資料や台湾フィールドノートなどの実物資料を見てもらうことができた。また準備の過程で、将来博物館学芸員を志している学生ボランティアの助力を得ることができた。

次に、国際シンポジウムについて、日本と台湾の研究者計5名を招聘し、鳥居龍蔵が遺した台湾関係の資料群について学術的な検討を加えた。当日は、徳島県内はもとより、東京や大阪、京都、北海道などから合計83名の参加者を得た。また、行事内容が後日、徳島新聞の記事として紹介されるなど、社会的なインパクトを与えることができた。とくに台湾人研究者による台湾語での講演(日本語による同時通訳)は参加者に感銘を与えるものであった。すなわち、鳥居龍蔵が遺した資料群は、その歴史的価値のみならず、今を生きる台湾先住民のアイデンティティに関わる内容を含んでいる、との指摘があった。本シンポジウムは、徳島県立鳥居龍蔵記念博物館と国立台湾史前文化博物館の両館が令和4年9月13日に連携協定を締結した後、共同学術調査の成果をはじめて県民に還元する場となった。今回のシンポジウムを契機に、今後も交流を深めるとともに、鳥居龍蔵関係資料に関する共同学術調査を継続して実施することとなった。

以上、一連の事業を通じて、徳島県における鳥居龍蔵の認知度を高めるとともに、地域における学習意欲の向上に寄与することができた。

事業実績(PDF)

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