地域課題対応支援事業

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No.28 近代京都―日本画の制作・鑑賞・流通をめぐるネットワークの再構築

No.28 近代京都―日本画の制作・鑑賞・流通をめぐるネットワークの再構築)

実行委員会

泉屋博古館

中核館

泉屋博古館

事業目的

地域の博物館が核となり、日本画の制作・流通・鑑賞に関わった施設・機関に埋没している資料や機能を掘り起こし、近代京都日本画ネットワークの再認識をすすめ、「文化観光都市」京都の輝きを教育文化・観光面から強化する。

事業概要

木島櫻谷(1877-1938)を軸とし、従来計画のあった下記の展覧会・公開事業に欠けていた相互の連携、広報、世界への発信に取り組み、有機的関係の再構築と活性化をめざす。
制作の根源となった写生帳のアーカイブ化・発信、日本画の商品化・流通を担い画家を支えた扇老舗での扇子文化紹介、寺院での襖絵鑑賞体験などを、イベント、周遊マップ、SNSなどで発信し、京都の文化理解の深化、新たな観光スタイルの提示を行う。

実施項目・実施体系

1.近代京都日本画の文化資源発掘と整備
(1)木島櫻谷写生帳(櫻谷文庫蔵)デジタル化
(2)南陽院襖絵デジタル化
(3)先進事例調査(東京・横山大観記念館)

2.ICT による日本画文化資源のアウトリーチ
(1)写生帳アーカイブ化
①アーカイブの発信 →http://okoku-shaseichou.com
②アーカイブを通じた調査・交流「おうこく足跡探訪」(WEB および館内)https://senoku.or.jp/okoku_sketch2022_08/
(2)南陽院襖絵デジタルアーカイブによる鑑賞教育

3.京都異分野文化拠点の連携と周遊促進
(1)京都近代日本画周遊マップ製作配布
(2)連携先リレー講座
①講演会(於泉屋博古館)「櫻谷の再評価」
②講演会(於櫻谷文庫)「木島櫻谷写生帖の修理」
③襖絵鑑賞講座(於南陽院)
④見学会(於宮脇賣扇庵)
(3)写生地をたどり写生するイベント
(4)アンケートの実施(館内および各イベント参加者)

4.「おうこく足跡探訪」など報告書の刊行

実施後の成果・効果等

各機関連携では、SNS での相互呼応発信で大きな広報効果を得た。また周遊マップでは、櫻谷ゆかりのほかの歴史的店舗・施設も紹介し、京の街全体に広がる日本画文化を伝えた。「櫻谷めぐり」を目的とした遠方からの来訪者も少なくなく、京都でのこれまでにない美術鑑賞・文化観光のスタイルを提示できた。当館会期中の入館者10,824 人(公開40 日)に対し、初公開の南陽院(20日 対当館32%)、櫻谷文庫(12 日 対当館18% 同年春の5 倍)と目標を上回る結果となり、複数周遊の傾向が強かった。敷居を高く見られがちな老舗への来店促進にもつながった。実施側としては、各事業を通じ関係を深め、来場者の反応から自身の文化資源としての価値を再認識し、さらなる交流・公開に意欲をみせ、また新たなミュージアムグッズなどの商品開発契機ともなった。連携先以外でも地図掲載を機に所蔵櫻谷作品を店頭展示する老舗も見られ、新たな異業種間交流が芽生えた。写生帖アーカイブでは写生旅の追体験ができ、先行公開した展覧会場で好評を博し、3月末のweb 公開後4 日で300 件のアクセスがあった。また京都の写生画から写生地を探る企画は多方面から反響があり、京都の参加者からは櫻谷の視線を介して身近にある美景の存在に気づいたとの感想が寄せられ、地域景観の再評価と保全意識につながる取組となった。

事業実績(PDF)

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