地域課題対応支援事業

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No.7 地域文化資源の活用に根ざした包摂的コミュニティ形成のためのミュージアム機能強化モデル構築事業

No.7 地域文化資源の活用に根ざした包摂的コミュニティ形成のためのミュージアム機能強化モデル構築事業)

実行委員会

「都市のカルチュラル・ナラティヴ」プロジェクト実行委員会

中核館

慶應義塾大学 アート・センター

事業目的

① 港区の多様な地域文化資源を活用し、様々なコミュニティとともに文化プログラムを実践することにより、世代、デジタル・リテラシー、障がい、ライフステージ、価値観などが様々に異なるコミュニティの分断の拡大を防ぎ、「包摂する社会」の実現に寄与する
② 伝統文化から現代文化まで、多様な文化資源を対象とする地域の活動を可視化し、その担い手と活動をつなぐコミュニティを形成する
③ 文化の継承と時代に即した更新、社会への再接続を担うミュージアムの機能を強化するモデルを提示する

事業概要

1. 包摂的な文化体験の創出
多様なコミュニティに個別的に働きかけるのではなく、与件や価値観の異なるコミュニティのメンバーが地域文化資源を活用した文化体験にともに参加し、体験を共有することを通じて、コミュニティのゆるやかな接続を図るプログラムを実施する。また、そのような文化体験を可能にするためのコンテンツについて、検討と制作を行う。

2. 地域の文化資源を可視化し、相互につなぐラーニング・ワークショップの開催
様々な領域の地域文化資源を可視化し、その活動や担い手をつなぐプログラムを実施する。異なる領域に属する文化資源を組み合わせたラーニング・ワークショップとすることで、ワークショップ企画・実施の過程において、活動や担い手の交流を生み出すとともに、異なる世代の異なる関心をもつ参加者が出会い、多様な価値観を受け入れる機会とする。

3. 文化財に触れる:「オブジェクト・ベースト・ラーニング」ワークショップの開発と開催
「オブジェクト・ベースト・ラーニング(OBL)」は、学び手がオブジェクト(=文化財)に直接に出会い、観察をすることによって、文化財と自らの繋がりを深めるとともに、文化財を通じた他者との対話を促す学習方法で、イギリスやオーストラリアの大学ミュージアムで実践が進んでいる。OBLを地域文化資源を対象に展開し、「内省」と「対話」を通じて地域コミュニティの分断を縫い合わせ、多様な文化が共生する社会の実現に寄与する。

4. プロジェクトの運営・モデル化
事業の円滑な運営を行うとともに、事業の成果をモデルとして共有してゆくための活動を行う。

本事業はミュージアムの機能強化をスタートアップするプログラムとして、令和4年度からの3カ年計画として推進することを計画している。活動の重点は、R4:モデル・プログラム開発→R5:プログラム実施と検証、連携の拡大→R6:モデル・プログラムの共有 と推移する。

実施項目・実施体系

1. 包摂的な文化体験の創出
1-1 アクセシビリティ・イノベーションワークショップ
① マリンサイエンスミュージアムでの対話ツアー
② 寺院におけるインクルーシヴな文化体験を語る会
1-2 コレクティヴ・メモリー:地域の文化と記憶を写真で読み解くワークショップ
1-3 包摂的な文化体験のためのコンテンツ検討WG
① インクルーシヴ鑑賞ワークショップに関する「まとめ」冊子の制作
② 東京海洋大学マリンサイエンスミュージアム パンフレット点訳

2. 地域の文化資源を可視化し、相互につなぐラーニング・ワークショップの開催
2-1 日常の風景に文化財を観る:地域の彫刻と建築を学ぶワークショップ
① 建築公開日
② 建築ツアー
③ 彫刻ツアー
2-2 地域の寺院を訪ねる:寺院の文化財と現代における活動を学ぶワークショップ

3. 文化財に触れる:「オブジェクト・ベースト・ラーニング」ワークショップの開発と開催
3-1 地域文化資源を対象とした「オブジェクト・ベースト・ラーニング」実践のためのWG①
3-2 「オブジェクト・ベースト・ラーニング」ワークショップ 
3-3 地域文化資源を対象とした「オブジェクト・ベースト・ラーニング」実践のためのWG②

4. プロジェクトの運営・モデル化
4-1 プロジェクト全体会議

実施後の成果・効果等

本事業では、「1 包摂的な文化体験の創出」「2 地域の文化資源を可視化し、相互につなぐラーニング・ワークショップの開催」「3 文化財に触れる:『オブジェクト・ベースト・ラーニング』ワークショップの開発と開催」「4. プロジェクトの運営・モデル化」の4プロジェクトの元に活動を行った。

1. 包摂的な文化体験の創出
多様なコミュニティに個別的に働きかけるのではなく、価値観の異なるコミュニティのメンバーが地域文化資源を活用した文化体験にともに参加し、体験を共有することを通じて、コミュニティのゆるやかな接続を図るためのプログラムを3種実施した。
視覚障がいを持つ参加者と一般の参加者が文化体験の機会を共有し、包摂的な文化体験について実践の中で考えるワークショップの企画においては、自然科学系の機関として東京海洋大学マリンサイエンスミュージアムと連携し、また伝統文化の担い手として増上寺と連携し、「マリンサイエンスミュージアム:目の見える人と見えない人のまっすぐ&ぶらぶら対話ツアー」(参加者20名)「インクルーシヴを語る会:歴史文化あふれる増上寺とともに考える」(参加者12名)を開催した。
また、新旧コミュニティの融合を図るプログラム実践の試みとしては、地域の記憶と文化について「写真」を切り口に実践を通じて学ぶラーニング・ワークショップ「コレクティヴ・メモリー」(全3回、のべ参加者数36名)を開催した。
また、包摂的な文化体験をサポートするコンテンツとして、連携館のパンフレットの点字翻訳(1種)を行ったほか、ワークショップの内容を現場の目線から振り返り、さまざまな課題や、これからインクルーシヴ・プログラムの導入を行う機関のヒントになる情報を纏めた教材冊子(300部)を作成した。

2. 地域の文化資源を可視化し、相互につなぐラーニング・ワークショップの開催
様々な領域の地域文化資源を可視化し、その活動や担い手をつなぐこと、そして異なる世代の異なる関心をもつ参加者が出会い、多様な価値観を受け入れる場を作ることを目的として、ラーニング・ワークショップを4種開催した。
港区の街に散りばめられた文化財を認識してもらい、文化財にあふれた地域の本来の姿とその魅力にフォーカスする企画「日常の風景に文化財を観る:地域の彫刻と建築を学ぶワークショップ」では、普段非公開の建築を公開する「建築公開日」(参加者数403名)、彫刻・建築それぞれの専門家を招いて文化財を実見しながら紹介する建築・彫刻ツアー(のべ参加者数:29名)を開催した。
「地域の寺院を訪ねる:寺院の文化財と現代における活動を学ぶワークショップ」(参加者数:17名)では、江戸時代からの文化財を継承する寺院の文化や現代における活動を学ぶことを目指した。

3. 文化財に触れる:「オブジェクト・ベースト・ラーニング」ワークショップの開発と開催
学び手がオブジェクト(=文化財)と直接出会うことによって、文化財と自らの繋がりを深めるとともに、文化財を通じて他者と対話する「オブジェクト・ベースト・ラーニング(OBL)」の実践を地域の文化資源を対象に展開することをめざし、ワークショップのプログラム開発と実践を行った。OBLの基本的な方法論を確認するとともに、地域文化資源へ展開する手法や課題について検討するワーキング・グループ(2回、参加者数:13名)を実施したほか、一般向けのプロトタイプ・プログラム「文化財への新しいアプローチに触れる1 dayプログラム:『オブジェクト・ベースト・ラーニング』入門」(参加者数:15名)を開催した。
また、同様の実践を志す文化財・教育関係者のための参考資料とするため、ワーキング・グループおよびワークショップの映像記録を編集しアーカイヴ化した(3本)。また、ワークショップの実践とWGでの検討の要旨をまとめた報告書(100部)を作成した。

4. プロジェクトの運営・モデル化
プロジェクト運営のための実行委員会会議を1回開催し、プロジェクトの活動内容について、推進の方法や企画内容、予算、各連携機関の分担について確認した。
また、プロジェクトの成果とモデルを広く共有するため、全体報告書(300部)を作成し、ウェブサイトでも公開を行った。

事業実績(PDF)

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