令和6年度 MuseumDX(博物館DX)推進事業
No.1 三陸希望遺産デジタル・アーカイブ構築プロジェクト
                実行委員会
三陸希望遺産デジタル・アーカイブ構築プロジェクト実行委員会
中核館
岩手県立博物館
事業目的
当プロジェクトの事業は、岩手県沿岸部に所在する資料、あるいは同地域から採集された資料について、地域の特性を顕著に示す、あるいは学術的に高い価値を持つものを中心とした地質標本のデジタル・アーカイブを構築することで、資料の学術的価値や魅力を発信するとともに、その学術情報の保存をはかる。さらに、その所産としてのデジタルデータを地域活性化のために活用するモデルケースを創出することを目的とする。
事業概要
当プロジェクトの事業は、以下の3つの活動から構成される。
①デジタル・アーカイブ構築活動
岩手県内の博物館所蔵資料を中心に、岩手県沿岸部から採集された地質標本のデジタルデータを作成し、それらを一覧できるアーカイブを構築する。
②デジタルデータ活用活動
デジタルデータを用いて作成した簡易レプリカを活用した地域活性化イベントを実施し、その結果を踏まえ、貸し出し可能な教育普及用パッケージを整備する。
③資料のデジタル化とその活用に関するノウハウの共有に関する活動
岩手県内の学芸員等を主な対象として、大掛かりな装置や予算措置を伴わずに実施可能な資料のデジタル化やデジタルデータの活用法に関する研修会を開催するとともに、岩手県内の高校、特別支援学校において成果を活用した教育普及事業を展開することで、本事業の効果の、より広範な共有をはかる。
実施項目・実施体系
1.デジタル・アーカイブ構築活動
①デジタル化事前打ち合わせ
②デジタルデータ作成
③デジタル・アーカイブ構築
2.デジタルデータ活用活動
①イベント事前打ち合わせ
②地域活性化イベントの実施
③貸し出し用パッケージの整備
3.ノウハウの共有に関する活動
①研修会等事前打ち合わせ
②研修会の開催
③教育普及事業の実施
4.事業全体の進捗管理に関する活動
①実行委員会議
実施後の成果・効果等
「1.デジタル・アーカイブ構築活動」においては、6の機関が所蔵する資料計112件、全178点について3Dデータを作成するとともに、新規に構築したデジタル・アーカイブサイト上で資料情報の公開を開始した。
「2.デジタルデータ活用活動」においては、中核館が所在する盛岡市松園地区の自治会やまちづくり団体から全面的な協力を得て、中核館館内のみならず所在地域までをフィールドとしたまち歩きイベントを、作成したデータを出力した簡易レプリカを活用して実施した。計4日間で1056名が参加し、100%という極めて高い満足度を得た。さらに産業技術総合研究所をはじめとする専門機関から助言を得ながら、15点の資料のレプリカと解説パネルからなる貸し出し用キットを整備することができた。
「3.ノウハウの共有に関する活動」に関して、学芸員向け研修会は3Dデータの作成・活用法について、①簡便な方法をより多くの方と共有するもの、②専門的な機材・ノウハウを要する方法を実行委員会構成機関内で共有するもの、の2種に分けて実施した。前者については日本博物館協会東北支部総会の開催に合わせて実施、岩手県内外から約40名の参加を得た。後者については実行委員会構成機関から参加を募って実施し、マニュアルを用意することで当日不参加だった構成機関職員にもノウハウの共有をはかった。また、教育普及事業に関しては、岩手県の公立高等学校及び特別支援学校と連携し、のべ3回、116名の生徒・教職員の参加を得て、3Dデータ及び出力したレプリカを活用して授業を行うとともに、3Dデータの作成法の基礎や意義についてあわせて紹介することで、3Dデータ活用の必要性や可能性について、次の社会の担い手に対する普及をはかった。